
腸腰筋の中に含まれている大腰筋の筋トレを行うことで、腰痛を改善することができます。大腰筋は加齢とともに筋力低下を引き起こす代表的な筋肉です。よくストレッチや体操を行うと改善するともいわれています。今回筋トレに絞った理由としては発症してからでは遅い。ということ。
発症する前に事前準備としてできる大腰筋トレーニングをみていくことにしましょう。
目次
大腰筋とは?
大腰筋は股関節を屈曲(足を曲げる)動作に関連している筋肉で一番の大きさがあります。大腰筋は下半身と上半身を繋ぐ筋肉であり姿勢にも影響を及ぼします。
簡単にいいますと、太ももを胴体に近づける運動のことを股関節屈曲と言います。
歩く際には前に一歩踏みだす動きであったり、直立しているときに姿勢を保つために重要な働きをしています。
大腰筋はどこにあるのか?
大腰筋は腰椎の左右から始まり、太ももの付け根の部分に筋肉が付着しています。大腰筋は深部にあるため触ることやみることはできませんがとても重要な役割であることを覚えておきましょう。
大腰筋の役割
股関節屈曲
股関節の屈曲は足を上げる行為です。膝を高く持ち上げれば上げるほど大腰筋が収縮します。つまり大腰筋の筋力低下が起こると、足を持ち上げる高さが低くなり、同時に力が無意識に衰えていくことで少しの段差でもつまずくようになるということです。骨盤後傾では足を上げる高さも姿勢の関係から低くなります。
股関節の伸展
股関節の伸展は足を後方にあげる力です。これは歩行の中では蹴りだす際の力を発揮するときに使われます。
大腰筋がの運動機能が低下すると前進するための蹴りだしがうまくいかずつまづくことがあります。骨盤が後傾すると伸展の可動域が狭くなり歩幅が狭くなることがあります。
大腰筋と腰痛の関係とは?
それではこれから大腰筋と腰痛の関係をみていきましょう。腰痛は大腰筋が原因であることが多く、それは普段の日常生活が根本の問題でもあります。
上の画像をみてください。左は大腰筋が正常な状態。右は大腰筋の筋力低下による、姿勢の変化です。
腰筋の筋力低下が起きると骨盤が後傾し猫背姿勢になります。筋肉はゴムのような性質があるため、常に弾力がある状態が正しいのです。しかし筋力低下になるとこの弾力がなくなり弛緩します。
すると画像の右のように大腰筋が弛緩し、上半身の重みで背骨が曲がるということです。
猫背姿勢で腰痛になる理由は?
猫背姿勢になるとなぜ腰痛が起きるのか?なんとなくイメージできる方もいらっしゃると思います。
これは姿勢が崩れることで本来あるべき腰の筋肉が、過剰に引っ張られている状態が続くことにあります。
正しい姿勢であれば、腰には弯曲がありますよね?しかし猫背になると弯曲がなくなり、逆に膨らみ筋肉が突っ張っている状態になるのです。
そして腰痛が発症するというメカニズムが生まれます。
筋力低下の原因は?
運動不足
不思議なことに加齢とともに免疫細胞、脳細胞、髪の本数、歯の数などが減る一方なのに比べ、筋肉の構成単位である筋繊維の数は、基本的に生まれてから死ぬまで大きな変化はありません。
しかし一方で年を取ると筋肉が落ちた、または衰えたように感じます。これは毎日の活動量(運動量)が減ってしまったからなのです。
使わないでいると筋繊維はどんどん細くなり、日常生活で使う程度だと脂肪もつきやすくなり太ることが多くなります。
長時間の座りっぱなし
長時間の座りっぱなしは筋肉低下になります。人間の身体は常に細胞レベルで進化をしていますが、それは動いていることが前提です。
仕事のデスクワークや高齢者の座りっぱなしになる人はまずは立ち上がり、散歩することから始めましょう。
栄養不足
偏った食事では栄養不足になります。特に筋肉を合成するタンパク質は毎日摂取していきましょう。
厚生労働省が推奨する一日のタンパク質量は、体重×1gです。70kgの人であれば70g摂りましょう。70gというと卵10個分になります。
一日卵10個はさずがに無理なので、お肉、魚、豆腐などをバランスよく食べていくといいでしょう。
大腰筋の筋力チェック!こんな症状があったら危険信号です
歩行スピードが落ちた
歩行スピードが以前よりも遅くなったと感じる方は大腰筋が弱くなっている可能性が高いです。股関節の伸展(足を後方から前に出す動作)が弱くなっている証拠です。
なんとなく気づいている方は、自分で筋トレをする準備をしましょう。
階段の上り下りが辛い
階段の上り下りは股関節の屈曲と伸展の両方が大切になります。もちろん大殿筋の筋力不足なども考えられることはありますが大腰筋の筋力低下も十分に考えられます。
すり足になってきた
高齢者に多いですが、すり足になってくると転倒するまでも時間の問題になります。すでにすり足の方は十分注意して歩きましょう。ただし、大腰筋トレーニングを行えば回復するのであきらめずに前進していきましょう。
歩幅が狭くなってきた
歩幅が狭くなると同時に足が高く上がらなくなります。何かにつまずいたときに姿勢を立て直すことが難しくなります。つまずいたときに転ばないためには、つまずいた次の1歩を骨盤よりも前に出さなければいけません。
足が高く上がらないということは、次の1歩までの時間がそれだけ短くなります。加えて、力強く大きな1歩を素早く出さなければ、骨盤よりも前の位置に足を運ぶことができません。
1日1分腰痛改善、大腰筋トレーニング
皆さん、あきらめる必要はありません。年齢を重ねても、筋力を鍛えることはできます。筋肉は最大限の力を発揮した後、必要な栄養と休養をとると運動前よりも太くなるのです。
そして人体の中で唯一成長し続けることができる器官です。そんな可能性があるのなら鍛えたほうが良いとは思いませんか?1日1種目で構いません。できるものからトライしましょう。
足上げトレーニング
足上げトレーニングは大腰筋を鍛えるのに有効です。その場で立った状態で50回交互に足を上げてみましょう。手も同様に上げていくことで脳の体操にもなります。
姿勢を崩さないように行うことがポイントです。高齢者の方の中にはバランスを取るのが難しい方もいらっしゃると思います。椅子を用意し、片手でつかまりながら片足ずつ行ってもよいでしょう。
座位の大腰筋トレーニング
高齢者の方の中でも立ってやることが難しい方は座った状態で足を上げていきましょう。
胸を張って手も同様に振りながら行います。できるだけ足と胸を近づけるようにしましょう。
最大限の大腰筋の可動域を使うことが大切です。
1 椅子に座ります
2 姿勢を正してからゆっくり膝を上に上げていきましょう
3 2秒かけて上げて、2秒かけて下ろします
4 呼吸は止めずに行いましょう
5 20回を3セットできると理想的です
更に座って行う大腰筋トレーニング
踏み台トレーニング
負荷を高くしたトレーニング方法として踏み台があります。踏み台は段差があるためお尻の筋肉も同様に鍛えることができます。無理のない範囲で30回~50回行いましょう。
踏み台は大腰筋だけでなく、大殿筋、ふくらはぎ、前もも(大腿四頭筋)を使うため負荷の高い運動になります。
負荷は常に強くしていき、筋肉には同じ刺激を与えないよう注意していきましょう。
1 踏み台を用意します
2 どちらの足からでも構いません、踏み台を上がります
3 踏み台に上がる時は足の付け根から足を上げるようにすることで大腰筋が効きます
4 呼吸を止めずにリズミカルに行いましょう
チューブを使った大腰筋トレーニング
チューブを使うことでより効果的に、適格に大腰筋のトレーニングをすることができます。
チューブはゴム状の性質のため常に弾力があり、引力があることで負荷が抜けないところがおすすめポイント。
足に引っ掛けて交互に入れ替えをするだけです。じわじわと大腰筋が鍛えられる感覚が身についてくると思います。
1 仰向けに寝ます
2 チューブを両足に引っ掛けます
3 片足を曲げ、もう片足は伸ばしたままの状態にします
4 曲げる際は膝が90度になるようにしましょう
5 交互にリズムカルに1秒に1回もしくは2秒に1回のペースで30回を目安に行いましょう。
立位で行う大腰筋チューブトレーニング
続いて立位で行う大腰筋トレーニングです。
前述した仰向けに寝て行うチューブトレーニングをそのまま立位にしただけの状態です。
立位の場合は片足を上げることで身体のバランスが不安定になります。つまりすると体幹を同時に鍛えることができるため一石二鳥のトレーニングとも言えます。
1 チューブを足の裏に引っ掛けます
2 片足をゆっくり上げていきましょう、その際は膝を曲げておきます
3 交互に足を入れ替えながら30回行います
4 バランスを崩さないように正確なフォームで行いましょう
5 2セット~3セットが理想的ですよ。
大腰筋ストレッチ
続いて筋トレ後のストレッチも紹介しておきましょう。
ストレッチは筋トレで硬くなった筋肉を伸ばし、柔軟性を向上させます。筋肉は筋トレだけでは足りません。強く強化した筋肉が柔らかい状態を保ってこそのストレッチ。
簡単そうだし今すぐできそうですよね。
1 うつ伏せになります
2 両手を前方に出し、お腹を反らします
3 その状態で深呼吸を繰り返しながらキープすること10秒~20秒
4 お腹がしっかり伸ばされているのを感じたらストレッチができています
5 2セットは繰り返しましょう
大腰筋ストレッチpart2
大腰筋ストレッチ、続いて2種目目ですが、片足を伸ばして大腰筋にアプローチする方法です。
これは伸ばしている側の大腰筋が伸びているということであり、曲げている側の大腰筋は伸びていません。
片足ずつ伸ばすことでより一層筋肉が伸びます。
1 片足を一歩前に出します
2 反対側の足を後方に伸ばします
3 その時点で伸ばしている側の付け根が伸びてきていると思います
4 両手は曲げている膝の上に置きます
5 ゆっくり身体を前に倒していきましょう
6 倒していくと同時に伸ばしている側の大腰筋に強くストレッチがかります
7 10秒~20秒伸ばしたら反対側へ。交互に2セット~3セット行いましょう
椅子を使った大腰筋ストレッチ
このように椅子を2個並べて行う大腰筋ストレッチもあります。
少し筋力が必要になることからできる方だけ挑戦してみましょう。無理はしないでくださいね。ただしこの3つの大腰筋ストレッチの中で一番効くことは間違いありません。
できるだけできるようになる努力をしてくださいね。
1 椅子を2個並べます
2 片足を完全に椅子の上に乗せます
3 曲げている側の足の上に手を置きゆっくり前に体重をかけていきます
4 大腰筋が伸びているのを感じたらそこでキープすること10秒~20秒
5 2セット~3セット行いましょう
編集長のつぶやき
この記事を書いたハッピーシニア編集長のつぶやきです……
いかがでしたでしょうか?
年齢を重ね、「速く歩けなくなってきた。」「最近ふらつくことが多くなってきた。」と感じたら、今すぐにでも筋力トレーニングをはじめましょう。人間は困らないと行動に移さないとはよく言ったものですが、本当にその通りです。
今は大丈夫かもしれないけど、未来は保証できません。腰痛もいつ発症するかわかりません。
腰痛は一度発症すると根本的に筋肉を鍛えて姿勢、食事などライフスタイル全般を変えていかないと癖になると言われています。
私も現役時代、腰痛に悩まされる方が多く、ストレッチや筋トレを実践してきました。皆さん腰痛になると必ず腰をもんでとか、ストレッチしてと言います。
まぁ痛みが出ている部位に問題があるという発想は仕方ないですよね。
しかし原因はこの大腰筋にあることを知りません。するといくら腰が痛くてマッサージなどにいっても半永久的に根本解決には至っていないのです。
ここで学んだこと、大腰筋のトレーニング&ストレッチを是非ご自身でも取り組んでみてください。筋力を強化することで関節や血液循環が良くなります。そしてストレッチをすることで更に良質な筋肉に変わります。
1日1分からできます。まずは1種目をしっかり行うことから始めてみるのはいかがでしょうか?
未来の身体に投資するかしないかは人それぞれです。今からできること、そしてすでに腰痛を抱えている人もまだ間に合いますのでまずは大腰筋トレーニングとストレッチを実践してみてください。